覚えておくと良いムスリムキーワード(25)
السلا عليكم و رحمه الله و بركاته
アッサラーム アライクム ワ ラフマトゥッラーヒ ワ バラカートゥ
アッラーの慈悲とアッラーの祝福がありますように
كيف حالك؟
お元気ですか?
بِسْمِ اللهِ الرَّحْمٰنِ الرَّحِيْمِ
ビスミッラーヒル ラハマーニル ラヒーム
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において
スンナ派、シーア派、、色々と聞くけど今更聞けないってことがあると思います。
今日は、「スンナ派」だけを分かりやすく書いてみました。
スンナ派
أهل السنة و الجماعة
アフル・スンナ・ワ・ジャマーア
意味:スンナと連帯の民
※スンナ( سنة Sunnah)踏み慣らされた道=慣行主にイスラムにおける預言者ムハンマドの言行・範例(السنة النبوية :預言者のスンナ)を指します。
預言者ムハンマド(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の死後、アブー・バクル、ウマル、ウスマーン、アリー、と4人の正統カリフに続き、様々な学派を生み出しています。
血筋にこだわらずに、クルアーンやブハーリー、イマーム・アフマド、アン=ナサーイーなどが編集したハディース(預言者ムハンマドの言行録)に書いてあることや、イスラムの慣習を守って信じる人々を指します。
「カリフ(ハリーファ)」
「預言者の代理人(または後継者)」という意味。イスラム教徒(ムスリム)の政治的指導者であるとともに、その信仰の維持とイスラム法の遵守の義務を負っており、政教一致の理念に基づいた地位である。
次にスンナ派の中にいくつかある学派を紹介します。
ハナフィー学派
(トルコを中心にパキスタン、バングラディッシュに多い)
創始者は、アブー・ハニーファ(767年没)
しかし、彼は書物を残さず、アブー・ユースフ(798年没)とシャイバーニー(805年没)が彼の教えを引き継ぎ、ハナフィー学派を確立させた。
ハナフィー派の特徴としては、法解釈においてキヤース(類推)の意義を重視すること、ハディース学を重視しないこと。
※ハディース学を軽視しているわけでもなく、自由裁量学ということになります。
類推(キアース)については「覚えておくと良いムスリムキーワード(19)」にあります。
マーリキー学派
(北アフリカ、西アフリカに多い)
創始者は、マーリク・ブン・アナス
ハディース集成書『الموطّأムワッタア』と、『المدوّنة الكبرىムダッワナ』が知られる。
「クルアーンに後にマーリク・ブン・アナスの書以上に有益な書は存在しない」
預言者ムハンマド(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の弟子の多くが住んでいたマディーナの人々による「行為( عَمل アマル)」を預言者の慣行の表現と考えた。
極端に言えば、マディーナの住民が伝えた伝承を信用する。
シャーフィイー学派
(イエメン、イラク、エジプト、東南アジアに多い)
創始者は、ムハンマド・ブン・イドリース・シャーフィイー
彼は、マーリキー学派のマーリク、ハナフィー学派のシャイバーニーから、学びを受けた。
イスラームにおける基礎法学の創始者でもある。
啓示的法源を重視するため、マーリキー学派と違い、地域の慣習( رسم ラスム)に依拠する割合は低めである。
アッマーワルディー、イマーム・アル=ハラマイン、ガザーリーなど高名な思想家や法学者たちを生み出した。
イエメンのハドラマウト人を中心に広まっていった(貿易などで)
ハンバリー派
(サウディアラビアに多い)
創始者は、アフマド・イブン・ハンバル(855年没)
彼は、ハディース学者でしたが、彼によって書かれた法学書はない。
ワッハーブ派、サラフィー主義者の元となる。
非常に厳格・保守的で、特にクルアーンとハディースのみを参照するべきと弟子たちに繰り返し語っていたと伝えられている。
ジャフム派やムウタズィラ派の説を論駁・否定した。
クルアーンが被造物である、という意見に対して、「クルアーンは神の言葉であり、神の言葉は創造されたものではないので、クルアーンは創造されたものではなく、そしてクルアーンは神の言葉あるいは発言であり、神の啓示でもある」
ワッハーブ派
(サウディアラビアでは国教となっている)
創始者はムハンマド・ブン・アブドゥルワッハーブ(1792年没)
彼は、アラビア半島ナジュド地方出身でハンバリー派の学者でした。
クルアーンとハディースの純粋なタウヒード(神の唯一性)の教えにかえることを主張し、当時ナジュドで流行していた聖者崇拝、スーフィズムを、異端者として激しく排撃した。
ナジュドの豪族であったサウード家のムハンマド・ブン・サウードと盟約を結んだ。
これ以降から現代にいたるまでサウード家はワッハーブ派の守護者となり、ワッハーブ派の運動を広げつつ勢力を拡大した。
こんにちでは、ジハードによる宣教を放棄しているため、イスラーム原理主義テロリストとは全くの別物である。
※この場合のジハードはイスラームやムスリムを害する敵との闘いの事
サウディアラビア王家の支配を認め、それに従う人をワッハーブ派と呼ぶこともある。
サラフィ―主義者
(学派ではないが参考として載せます)
サラフは、「先にたつもの」「先人に倣う者」という意味。
イスラームの初期三世代までを指すこともある。
サラフィ―主義者は、学派でも団体でも教団でもなく、あくまでも同じ思想を抱えた人のことで、それは実に様々です。
全てのムスリムがクルアーンとハディースを参照してイジュティハードを行うべき、またその字義通りに従わねばならないという思想を持っています。
シャリーアの厳格な施行やイスラーム国家の樹立を求めるなど政治性が強かったりする。
イジュティハード
狭義には、イスラーム法学者が、ある問題のシャリーアの規範についての暫定的・推論上の結論を知るために、自身の努力のかぎりをつくすことを意味する。 (イスラーム神学 松山洋平 P415)
サラフィー主義者は、基本的には非暴力的です。
「サラフィ―・ジハード主義者」と呼ばれる人たちがいますが、私たちが知っているといえば、アルカーイダ、ISなどの武装勢力集団が有名でしょう。
この違いがわからず、混乱している人が多いかと思います。
【参考文献】
中田考 著
イスラーム入門 文明の共存を考えるための99の扉 (集英社新書)
松山洋平 著
イスラーム思想を読みとく(ちくま新書)
「シーア派」については、
次のコラムに載せています。
覚えておくと良いムスリムキーワード(26)
さて、今日はここまでにしましょう。
وعليكم السلام و رحمه الله و بركاته
ワッサラームアライクム ワ ラフマトゥッラーヒ ワ バラカートゥ
アッラーの慈悲とアッラーの祝福がありますように。
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