覚えておくと良いムスリムキーワード(19)
السلام عليكم و رحمه الله و بركاته
アッサラーム アライクム ワ ラフマトゥッラーヒ ワ バラカートゥ
アッラーの慈悲とアッラーの祝福がありますように
كيف حالك؟
お元気ですか?
今回は、土曜日にも不定期で掲載します。
先日、「Alcohol」と「豚」について皆さんにお話しましたが、色々な方からたくさんの意見や厳しいお言葉を頂きありがとうございました。
私も皆様のおかげで「イスラーム」の奥深さを感じる共に、もっともっとより深く学んでいきたいと強く感じました。
まず、「Alcohol」のところで、なぜアルコール全般と書かないのか?アルコール入りの醤油は基本的にNGでしょう?という質問をいくつか頂いたので、それについて色々と書きました。
しかし、皆様に注意して頂きたいことは「イスラーム」は基礎というよりも入門から少しずつ勉強をしていかないと間違ったまま覚えてしまったり、夫婦の間で、または友達との間で揉めてしまったりすることがよくあります。
ですから、一番大事なことはイスラーム法学者や、クルアーンやハディースを理解するための勉強をして、モスクでイマームとして指導されている方に尋ねる事が一番大事なことです。
また、ノンムスリムの皆様や改宗されたばかりの方にとって意外に思われるかもしれませんが、イスラームでも、色々と学派があります。
これについては、かなり難しくなっていくのであまり触れませんが、日本人の方にとってわかりやすい例えでいうと、仏教でもいくつか宗派がある、それと似たような感じです。
それぞれの学派の教えによって、回答が変わったりします。
スンナ派とシーア派は皆さんもテレビなどで耳にしたことがあるかもしれません。
そのスンナ派でも、更に細かく学派があります。
サウディアラビアは、スンナ派の多い国として知られていますが、エジプトのアズハル大学での考え方を異端としてとらえることもあります。
アズハル大学では、アシュアリー学派神学の教説がスンナ派の正統であるとして授業を行っています。※アズハル大学に留学されていた日本人男性のインタビュー記事に関するサイトがありましたので一番下にリンクを載せますので、参考にどうぞお読みください。
このように、国や文化や教育機関などによって異なったりします。
アル=アズハル大学(Al-Azhar University)(جامعة الأزهر (الشريف Jāmiʻat al-Azhar (al-Sharīf)
970年に設置された、カイロに本部を置くエジプトの公立大学。
イスラム教スンナ派の最高教育機関として有名で、現存する世界最古の大学の1つである。
Al=Azhar universityのサイトより
次に「イスラーム法」について、簡潔にお話します。
イスラームには、「イスラーム法」と呼ばれる、神の意思を判断する手段としていくつかの法律があり、アラビア語で「シャリーア」と呼ばれる。
元来、アラビア語で「水場に至る道」を意味する。
それが、「正しい道」とされ、イスラーム法を指すようになった。
「シャリーア」は、政治などの社会的生活から遺産相続のような個人の生活まで、信徒の全生活を包含する規範である。
4種に大きく分類される。
第1:預言者が授かった神の言葉であるクルアーン قرآن
第2:慣行(スンナ) سنة
第3:合意、同意(イジュマーウ) الإجماع
※代表的法学者(ウラマー)の意見で一致したもの
第4:類推(キアース) القياس
このシャリーアが誤解されたり、ムスリムたちの間でも間違ったまま伝わったりするが、クルアーンを解釈して議論する人は「ムジュタヒド」しか許されない。
اجتهاد イジュティハード
狭義には、イスラーム法学者が、ある問題のシャリーアの規範についての暫定的・推論上の結論を知るために、自身の努力のかぎりをつくすことを意味する。 (イスラーム神学 松山洋平 P415)
مجتهد ムジュタヒド
イジュティハードを行う人の事
※スンナ派の多数派説では、ムジュタヒドは、シャリーアにおける知識においても、理性を用いた議論においても誤ることがある。たとえ誤った結論を導いたとしても、ムジュタヒドはそのイジュティハードによってアッラーの下で報奨を得る。 (イスラーム神学 松山洋平 P416)
イスラーム思想史においては9〜10世紀頃、善悪は神の意志によって決定され、人間は啓示よってのみ神の意志にかなった法判断を知ることができた。
啓示に由来する法判断のみが正しく、キヤース(類推)のみが正しい推論法であるという法理論の原則を記した初のイスラーム法理論書とされるのは法学者シャーフィイー(820年没)著『リサーラ』であるが、同書はマスラハに言及していない。
マスラハとは「法の目的」の意であると定義したのはガザーリー(1111年没)であるが、以後この定義はイスラーム法学者達に普遍的に受容された。
簡単にまとめると、時代が経つにつれて、クルアーンとハディースだけでは律しきれない問題が出てきた。
そこで、法学者シャーフィイーが、クルアーンを解釈する中で、キヤースについて学説をたて、それ以後、イスラーム法学者達に受容されている。
القياس 類推(キヤース)
【類推の意味】
■類似の点をもとにして、他を推しはかること。「過去の事例から類推する」
■論理学で、二つの事物の間に本質的な類似点があることを根拠にして、一方の事物がある性質をもつ場合に他方の事物もそれと同じ性質をもつであろうと推理すること。結論は蓋然的。類比推理。類比。比論。アナロジー。
■ある語形または文法形式との関連から、本来の語形または文法形式とは別の新しい語形または文法形式を作ろうとする心理的な作用。この種の働きによって、多くの不規則な語形が規則化されていくことがある。
この類推(キヤース)に沿って「Alcohol」について考えてみると以下のようになる。
イスラーム法でみると 「酔わせるもの」= مسكر
シャリーア法では「酩酊作用のあるものは全てハラーム」ということである。
しかし、「酩酊状態」についてもどの程度のことを酩酊状態というか詳しく書かれているものはない。
よって、この確定したシャリーア法に基づいて、類推(キヤース)で考える。
日本酒は、クルアーンにはないもので、類推(キヤース)で考えると、酩酊作用があるのでハラームになる。
しかし、醤油に入っているアルコールは、類推(キヤース)で考えると、酩酊作用がないのでハラームではない。
先ほども言いましたが、「酩酊状態」についてもどの程度のことを酩酊状態というか書かれていないので、これも やはりムジュタヒドや各国のモスクのイマームによってまちまちだったりします。
非常に難しい話ですが、アラビア語も学習して、イスラーム法学を研究して日々修行を続けていかないとそう簡単に「この問題はある程度、理解できたからイスラームのことはわかった」ということにはならないということを、最後に頭の中に留めて頂ければと思います。
【参考文献】
Photo: Cairo, Egypt
さて、今日はここまでにしましょう。
وعليكم السلام و رحمه الله و بركاته
ワッサラームアライクム ワ ラフマトゥッラーヒ ワ バラカートゥ
アッラーの慈悲とアッラーの祝福がありますように。
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